連続テレビ小説「あんぱん」で代議士・薪鉄子役を好演した戸田恵子。第128話で声のサプライズ再登場を果たし、自身が放送開始時から担当しているアニメ「それいけ!アンパンマン」のアンパンマンの声を演じた(C)NHK
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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は24日、第128話が放送され、柳井嵩(北村匠海)の絵本「アンパンマン」がテレビアニメ化される過程が描かれた。初回のアフレコシーンには、実際にアニメ「それいけ!アンパンマン」(日本テレビ)の放送開始から35年以上にわたって主人公・アンパンマンの声を担当している女優・声優の戸田恵子(66)が声のみの出演ながら事前告知なしのサプライズ出演。わずか1つの台詞だったが、インターネット上で大反響を呼んだ。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、戦争に翻弄されながら激動の時代を生き抜き、「逆転しない正義」にたどり着く柳井夫妻、のぶと嵩の軌跡を描く。

 第128話は「アンパンマン」をテレビアニメ化したいとテレビプロデューサー・武山恵三(前原滉)が柳井家へ。柳井嵩(北村匠海)は「アンパンマンを傷つけられたくない」と断ってしまう。武山は数日後に再アタックも、嵩は不在。柳井のぶ(今田美桜)が代わりに熱意を伝えると、嵩はようやく…という展開。

 武山は“アンパンマンの生き字引”だった。アニメ化の提案は以前にもあり、嵩は設定の変更を求められたという。

 武山は息子の幼稚園で「アンパンマン」の絵本だけが手垢まみれなのを目にし、未就学児の人気に気づいたという。

 のぶ「それに竹山さん、アンパンマンのこと、尊敬してるの」

 武山「アンパンマンは、本当に弱くてカッコ悪いです。でも…そのカッコ悪さが、カッコいいんです。私は、弱くてカッコ悪いアンパンマンを、尊敬せずにはいられないんです」

 のぶ「それを聞いて、この人なら、アンパンマンを預けていいと思ったの」

 嵩「(電話をし)武山さん、僕はね、あなたのこともテレビ局のことも、まだ信用してません。でも、うちのカミさんのことは、信用してるんです。だからやりましょう」

 嵩は主題歌「アンパンマンのマーチ」の歌詞も手掛けることに。“おじさんアンパンマン”から約20年の付き合い。のぶと嵩は本棚を眺めた。

 嵩「千尋には、夢があった。弱い人たちを守る夢。愛する人を守る夢。そういう人たちが、叶えられなかったこと。それを…叶えるためにアンパンマンは…。何のために生まれて、何をして生きるがか…」

 のぶは完成した歌詞を一言一言。かみ締めるように読み上げ、感涙。嵩は武山からの“子ども向け番組への修正”依頼に応じた。

 1988年(昭和63年)秋。「嵩は制作過程で妥協せず、完成にこぎ着けるまで2年かかりました」(語り・林田理沙アナウンサー)。嵩と武山はスタジオの副調整室でアフレコを見守った。

 戸部由子(戸田恵子)「ボク、胸の中がとってもホカホカしてるよ。人を助けるって、こんなに胸があったかくなるもの…(涙ぐむ)」

 武山「戸部くん、泣いてる。気持ちが入りすぎちゃったのかな。すいません」

 嵩「いえ」

 いよいよ「それいけ!アンパンマン」の放送が始まる――。

 武山恵三役のモデルは、日本テレビのプロデューサー・武井英彦氏とみられる。

 今作で高知出身の代議士・薪鉄子役を好演した戸田だが、ラスト約1分、第20週・第97回(8月12日)以来6週ぶりの再登場で1人2役。SNS上には「まさかの2役」「アンパンマンの声、本人だ!」「まさかの再登場と同時に、若い頃ご自分の声を演じるという事態w」「アンパンマンに命が吹き込まれた!」「戸田恵子さん、声優“戸田恵子”役で出るとは」「主題歌の歌詞の意味の深さを今さらながら知りました」「歌詞は千尋くんの想いからだったんだね。最初の歌詞案、めっちゃジーンときた」などと驚きや歓喜の声が続出。大きな話題を集めた。

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