9月19日から9月21日までの全国映画動員ランキングが発表。公開からちょうど2か月、10週目を迎えた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中)の牙城がついに崩れる。新たに首位に立ったのは、『チェンソーマン レゼ篇』(公開中)だ。
■『チェンソーマン』初の劇場版が秋の主役に名乗り!
【写真を見る】近年メガヒットが相次ぐ“ジャンプアニメ”、『チェンソーマン レゼ篇』は、ビッグウェーブに乗れるのか / [c] 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト [c]藤本タツキ/集英社
IMAX61館を含む全国422館で公開された『チェンソーマン レゼ篇』。初日から3日間の成績は観客動員80万7000人、興行収入12億5100万円。『無限城編』と『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』に次いで、今年公開作品としては第3位のビッグオープニングを飾った。
2019年から「週刊少年ジャンプ」で連載され、累計発行部数3000万部を突破した藤本タツキの人気コミックを原作に、2022年に放送されたテレビアニメの初の劇場版となる本作。藤本作品といえば、昨年夏に興収20億4000万円を記録するサプライズヒットとなった『ルックバック』(24)が記憶に新しいが、同作は公開規模も小さくODS作品として扱われていたため、今回の『チェンソーマン レゼ篇』と成績を比較するのは難しいところ。
2022年に放送されたテレビアニメの最終話から続く物語が展開する『チェンソーマン レゼ篇』 / [c] 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト [c]藤本タツキ/集英社
そうなれば、やはり近年の日本のアニメ界、ひいては映画界を支えている“ジャンプアニメ”という括りで見るのが適切だろう。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車篇』(20)と、現在公開中の『無限城編』は別格のため一旦置いておくが、『無限列車篇』以降で目を見張るヒットだった“ジャンプアニメ”映画は4本。最終興収138億円の『劇場版 呪術廻戦 0』(21)、同203億4000万円の『ONE PIECE FILM RED』(22)、同164億8000万円の『THE FIRST SLAM DUNK』(22)、そして同116億4000万円だった『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(24)。
しかしこれら4作の最初の週末成績は、いずれも『レゼ篇』を大きく上回っている。それを踏まえると、『レゼ篇』が興収100億円の大台に乗るのはかなり厳しいかもしれない。少し基準を下げてみると、「週刊少年ジャンプ」ではなく「ジャンプ+」の連載作品を原作とした『劇場版SPY×FAMILY CODE:WHITE』(23)が初日から3日間で86万6000人&興収12億2400万円だったので、もっとも近い。同作は最終興収63億2000万円だったので、『レゼ篇』の着地点もその前後あたりとなるだろうか。
10月4日(土)からは臨場感たっぷりの4D上映も決定している / [c] 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト [c]藤本タツキ/集英社
先に挙げたメガヒットアニメが毎年のように出ているおかげですっかり感覚が麻痺しているが、冷静に考えれば深夜アニメの劇場版(かつ、まだ比較的新しい作品で)が、これだけのヒットスタートを飾るだけでもなかなかのもの。しかも公開初日には全国5大都市12劇場で深夜0時からの最速上映が行われ、翌20日には公開記念舞台挨拶が全国346劇場でライブビューイングされるなど、すでに国民的行事級の盛り上がりを見せているのだから、「チェンソーマン」の人気の高さが窺える。
10月4日(土)からはMX4D、4DX、Dolby Cinemaでの上映も決定しており、そこでもうひと伸びする可能性も高そう。まだまだ元気な『無限城編』と共に、秋シーズンの映画館を大いに盛り上げてくれることは間違いないだろう。
■『宝島』『ひゃくえむ。』も初登場!
公開10週目で2位転落も、まだまだ絶好調の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 / [c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
9週連続No.1から陥落した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、週末3日間で動員39万人、興収6億4500万円を記録し2位にランクイン。動員は前週比75%、興収は同78%と、『チェンソーマン レゼ篇』という強敵の襲来を前にしても踏みとどまっていることがわかる。
9月21日までの公開66日間の累計成績は、動員2362万1279人&興行収入340億1149万700円。前作『無限列車篇』は公開13週目で2位にランクダウンしたあと、翌週には再び首位に返り咲いているが今作はどうなるのか。ちなみに当時『無限列車篇』の牙城を崩したのは『銀魂 THE FINAL』(21)。“ジャンプアニメ”のライバルは、やはり“ジャンプアニメ”しかないということか。
二宮和也主演『8番出口』は3位をキープし、興収37億円を突破! / [c]2025 映画「8番出口」製作委員会
3位から5位には強力な実写邦画3タイトルが並ぶ結果に。公開4週目を迎えた『8番出口』(公開中)は、週末3日間で動員23万7000人、興収3億4000万円を記録し3位をキープ。累計で動員261万人&興収37億円を突破している。一方、先週2位に初登場を果たした『ブラック・ショーマン』(公開中)は週末3日間で動員19万8000人、興収2億8000万円をあげて4位に。
公開16週目を迎えた『国宝』(公開中)も前週と同じ5位をキープ。週末3日間の成績は発表されていないものの、9月21日までの累計成績は動員1050万人&興収148億1000万円に到達。『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』を抜いて、日本歴代興収18位まで順位を押し上げており、興収150億円の節目が目前まで迫っている。
妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太共演の『宝島』は7位に初登場 / [c]真藤順丈/講談社 [c]2025「宝島」製作委員会
新作では、第160回直木賞を受賞した真藤順丈の同名小説を大友啓史監督、妻夫木聡主演で映画化した『宝島』(公開中)が7位に初登場。週末3日間で動員11万4000人、興収1億5600万円を記録。3時間を超える長尺の作品だが、『国宝』のように2週目以降で確変することになるのか注目が集まるところ。
また「チ。―地球の運動について―」で知られる漫画家、魚豊による同名コミックを、『音楽』(19)の岩井澤健治監督が松坂桃李と染谷将太をボイスキャストに迎えてアニメ映画化した『ひゃくえむ。』(公開中)は8位スタート。全国203スクリーンでの上映ながら、初日から3日間で動員6万8080名、興収1億266万6040円と大健闘を見せている。
世界陸上の熱気冷めやらぬなか、『ひゃくえむ。』が大健闘! / [c]魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会
以下は、1〜10位までのランキング(9月19日〜9月21日)
1位『チェンソーマン レゼ篇』
2位『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
3位『8番出口』
4位『ブラック・ショーマン』
5位『国宝』
6位『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』
7位『宝島』
8位『ひゃくえむ。』
9位『カラダ探し THE LAST NIGHT』
10位『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』
今週末は、かわぐちかいじの人気コミックを大沢たかお主演で実写映画化した『沈黙の艦隊』(23)のシリーズ第二章『沈黙の艦隊 北極海大海戦』(9月26日公開)、浅倉秋成の同名小説を阿部寛主演で映画化した『俺ではない炎上』(9月26日公開)、オダギリジョーが脚本・演出・編集・主演を務めたテレビドラマの劇場版『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』(9月26日公開)、A24製作のメランコリックスリラー『テレビの中に入りたい』(9月26日公開)などが控えている。
文/久保田 和馬
