作品そのものの美しさ・迫力・貴重性が来場動機に
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングは全国の20歳~69歳の男女1,100人を対象に「アート展・アートイベントに関する調査(2025年)」を実施した。近年、アート展やアートイベントは多様化し、その関心の対象や訪問傾向にも変化が見られる。本調査では、興味のあるジャンルや来場頻度、作品に対する魅力の捉え方などを明らかにしている。
調査によると、アート展に「興味がある」と答えた人は47.5%と、全体のおよそ半数に達した。中でも興味があるジャンル・テーマでは、「アニメ・漫画」が17.5%で最多となり、「西洋絵画」(14.1%)、「日本画・東洋絵画」(13.5%)がそれに続いた。「アニメ・漫画」は20代から50代まで幅広い年代で高い関心を集めており、現代アートやポップカルチャーが市民権を得ていることが伺える。一方、60代では「西洋絵画」や「日本画・東洋絵画」への関心が高く、伝統的な美術への親和性が依然として強い。
アート展への訪問頻度では、「年に1回以上行く」と回答した人が44.4%を占め、「年に1回未満」(42.1%)、「行ったことがない」(13.4%)と続いた。特に20代では「年に1回以上」が60.2%に達し、他年代を大きく上回る結果となった。若年層におけるアート展への高い参加意欲が浮き彫りになっている。
アート展の魅力については、「作品そのものの美しさや迫力を感じられる」(40.0%)、「普段は見られない貴重な作品に出会える」(38.9%)という回答が上位を占めた。特に60代ではこの2項目が他の年代よりも顕著に高く、芸術作品の本質的な価値に惹かれていることがうかがえる。
また、印象に残った展示テーマとしては、「スタジオ・ジブリ」関連の展示が最も多く挙げられた。アニメーションとアートの融合により、幅広い年代から支持を得ていることが明らかになった。「モネ」に関しては、美術館での展示に加え、デジタル技術を用いた没入型アート展でも高評価を得ており、新旧の表現方法が共存する傾向が見られる。
本調査の結果から、アート展やアートイベントは、従来の絵画や彫刻に加えてアニメや漫画といったポップカルチャーも重要な文化資源として捉えられていることが明確になった。さらに、来場者が求めているのは単なる鑑賞ではなく、希少性や体験性、感動といった“作品との出会い”に重きを置いている点も注目に値する。若年層の興味関心が高まる一方で、伝統的な芸術への根強い支持も継続している。アート展という場は、世代や関心を越えて、アートが日常に入り込む接点として、今後もその重要性を増していくと考えられる。
調査概要調査名称:アート展・アートイベントに関する調査(2025年)実施主体:株式会社クロス・マーケティング調査方法:インターネット調査(QiQUMO使用)調査地域:全国47都道府県対象年齢:20歳~69歳の男女調査期間:2025年9月5日(金)から9月7日(日)まで有効回答数:1,100サンプル