2026年1月、麻布台ヒルズ ギャラリーは、日本アニメーション界が誇る稀代の才能・押山清高監督による特別な展覧会「劇場アニメ ルックバック展 -押山清高 線の感情」の開催を発表しました。劇場アニメ『ルックバック』の核心に迫るこの展覧会は、アニメファンのみならず、アートや表現の深淵に触れたいすべての人々にとって、見逃せない体験となるでしょう。
【画像をみる】「劇場アニメ ルックバック展-押山清高 線の感情」あの電脳コイルも手掛けた天才監督が開催する特別な展覧会が麻布台ヒルズに!

<「劇場アニメ ルックバック展」ティザービジュアル> ©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会
押山清高が紡ぎ出す「線の感情」とは?
押山清高監督といえば、『フリクリ』『エヴァンゲリオン新劇場版』などの作画参加から、『電脳コイル』、『リトルウィッチアカデミア』『DEVILMAN crybaby』での原画・アニメーターとしての活躍、そして『劇場版ポケットモンスター ココ』や『平家物語』での監督・絵コンテ・演出まで、そのキャリアはまさに日本のトップクリエイターとして輝かしいものがあります。特に、線一本一本にキャラクターの感情や物語の背景を宿らせるその描写力は「押山清高の線」と称され、多くのアニメーターやファンに影響を与えてきました。
今回の展覧会タイトルにもなっている「線の感情」は、まさに押山監督の創作哲学そのもの。本展では、劇場アニメ『ルックバック』の制作過程で生まれた膨大な原画、絵コンテ、設定資料の数々を、監督自身の視点から厳選し展示します。キャラクターの息遣いや心の揺れ動き、そして藤野と京本の間に流れる時間までもが、一本の線からどのように立ち上がってくるのか、その秘密が解き明かされることでしょう。
本展に向けてのメッセージー押山清高
映画『ルックバック』は、抗いようのない時代の変化に対する問いであり、生存戦略でした。
AIが絵をはじめ、あらゆるものを生成できる今、なぜ人は、それでも描くことをやめないのか。
その問いに、自分の線で答えようとした作品です。
今回の映画では、藤本タツキさんの原作をお借りし、
“描くこと”についてアニメーションならではの表現を模索できたのは幸運でした。
私はテクノロジーを否定するつもりはありません。
その力を認めたうえで、それでも描くことを選ぶ人間の衝動や不器用さにこそ、
作品の本質があり、残す意味があると信じています。
『ルックバック』は、私なりのクリエイター賛歌であり、人間賛歌です。
この展示は、完成した映画の記録ではなく、
描かれたもの、描かれなかったもの、その過程でこぼれ落ちた感情や思考の痕跡を
今の時代にこそ可視化する試みです。
アニメやマンガは、先人たちの飽くなき探求が積み重なった集合知に支えられています。
本作もまたその流れの中にあり、私たちは時間をかけ、間違えながら、
さまざまな感情で線を引き続けています。
描くとは、思考の累積であり、身体そのものの表現です。
その線には“描いた人”のすべてが宿ります。
この展示が、「人が絵を描くとは何か」をあらためて問う機会になればと思います。
ー押山清高

<押山 清高(おしやま きよたか)プロフィール>
1982年、福島県生まれ。
2004年よりアニメーターとして活動を開始し、2006年『電脳コイル』では作画監督を務める。
その後も数々の作品で監督・脚本・デザインなどを手がけ、多様な表現に携わる。
2017年にアニメーション制作会社スタジオドリアンを設立し、短編『SHISHIGARI』を制作。
2024年には、監督・脚本・キャラクターデザイン・作画監督・原画を務めた劇場アニメ『ルックバック』を発表した。
著書に『作画大全作画添削教室・押山式作画術増補合本 神技作画シリーズ』がある。
劇場アニメ『ルックバック』の魅力が詰まった唯一無二の空間

<「劇場アニメ ルックバック展」ティザービジュアル> ©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会
漫画家・藤本タツキ氏が手掛ける傑作読切漫画をアニメ化した『ルックバック』は、アニメーション表現の限界に挑んだ作品として大きな話題を呼んでいます。押山監督が描く、繊細かつ大胆なアニメーションは、原作の持つ普遍的なテーマである「創作」や「友情」、そして「喪失と再生」を深く掘り下げ、観る者の心に深く響かせました。
本展では、劇場アニメの感動を呼び覚ます名シーンの原画はもちろん、キャラクターデザインの変遷や美術設定など、作品の世界観を多角的に触れることで、まるで映画のワンシーンに入り込んだかのような没入感を味わいながら、『ルックバック』が持つメッセージを改めて感じることができるはずです。
また、監督自身が手掛ける展覧会だからこその制作の裏側にも期待が膨らみます。
劇場アニメ『ルックバック』 ストーリー
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。
なぜ今、押山清高の「線」が求められるのか
情報過多な現代において、デジタル技術の進化は目覚ましいものがあります。しかし、その一方で、手描きのアニメーションが持つ温かみや、描き手の感情がダイレクトに伝わる「線」の力は、ますますその価値を高めています。押山清高監督の「線の感情」展は、単なるアニメーションの展示に留まらず、普遍的なアート表現としての「線」の可能性を提示するものです。
彼の線は、単なる記号ではありません。それは、キャラクターの喜びや悲しみ、葛藤、そして未来への希望を宿す、生命力に満ちた表現なのです。本展を通じて、来場者は、一本の線が持つ無限の表現力、そしてその線に込められた作り手の情熱と魂を感じ取ることができるでしょう。
開催概要
「劇場アニメ ルックバック展 -押山清高 線の感情」
開催期間:2026年1月16日(金)~3月29日(日) ※会期中無休予定
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
主催:麻布台ヒルズ ギャラリー、スタジオドリアン、エイベックス・ピクチャーズ
協力:集英社、ミックスグリーン
※営業時間、チケット情報等については今後のリリースにて発表予定
詳細情報やチケット販売については、続報をお待ちください。
この冬、麻布台ヒルズで、押山清高監督が織りなす「線の感情」をぜひご体感ください。
