【春のステージ2024】ーこどもの日 ファミリーコンサート 後編ー Modern Japanese Songs with Traditional Instruments

第2部が始まりました
幼稚園や小学校のみんなには少し難しく 感じるところもあるかもしれないけど
のんびりリラックスして楽しんでください ね
初めにお送りするのは日本メーカーとして 100年以上前から歌い継がれてきた曲
今日はその中から3曲をお送りします また本日のプログプログラムとして予定し
ていた城河ヶ島の雨は時間の関係で演奏さ れませんご了承ください
さて 桜に寄せる気持ちや親が子供を愛しく思う
気持ちは昔も今も変わりません わははって愉快に思うこともやっぱり同じ
これから2人の女性歌手が声を合わせて 歌います掛け合いや声の重なり合いを
楽しんでみてくださいねそれでは日本 メーカー3局お楽しみください の 世の中に い たえ 桜の 桜
の中 ど し 桜よ の空 にす 限
に かみ にいそいそよそよそ う はい しりせいそう 起きてなく
今 で心 くそコロコロ猫こしり 大に 明日はこの 寝よ 猫ロ 猫ロき て さ 一
の ように ロ を
から 変わ
の にし の ちょ に
グシャ とかし でハみを
き そこへ
の こと
どうぞ急い旅勝ておれ直 嘘
気がしてこ せるし
早やめ た 邪魔な
は するし
そこ てき落とすキチキチキ はしえ チョキチョキチョキチョキチョキチョキ
チョキチョキチョキチョキの はい 続いては本日所演となります黄色い船と
いう物語作品です 25元のおことと尺がおりなすとっても
楽しいファンタジーの世界へ皆さんをお 連れしますよ
このお話の主人公はレースゲームが大好き な男の子
今夜も1人で遊んでいると妹のユりが 黄色い終了ボタンを押しちゃったんだって
そうしたら急に部屋が明るくなってさてどうなるかな ドキドキ車のレースゲーム
ハラハラドキドキハラハラドキドキ 青い車を追いスピードギンと上げた時
画面が切れたゆり目黄色いボタン押 しやがって僕は怒かってユの手を引っつかたんだ その時
マ昼みたいに 部屋が
明るくなって まだの外に大きな 黄いす 黄色いボタンを押されたお客様お客様
御日月 の船に お早くどうぞ
小猿の船長が叫んでる慌てて乗り込む僕 たち
もやっと 飛びの
えへ天野川を一ぶり 船長が笛を吹くと
白におるから星がこぼれてチろチロ キラキラ 御月の 滑り出す のをシュルシュルシュに早い早い月の船で
きゃぎゃ早い月の船でシェットコースター みたい月の ぎゅっと赤い星で急カーブ ルビンルビン シャリシャリシャル 妻の親子が星の川で
水 に しろラ しろ
シャラルロラ 大熊と小マです 川につげる 白い
鳥 こちらはご存知白鳥座 黄
はぐんぐん進むぐんぐんぐんぐん ぐんぐんぐ進む ピカりピカり 空飛ぶ魚座 です は夢中で
手を伸ばす シルシュルシュルり
月の船あちらキラキラのジェット コースターみたいに滑って滑って滑って
滑っ 黄船
は芝に ゆらゆら
ゆらゆ 降りて行く
流れ星しけ て右左 ゆり
ゆらり ゆらり ゆら えへん終点ですと部屋にくとゆりけもしっと落ちてきた は小さが月きに持って光て それからは僕ユりにもレースゲームやらせ
てあげてるんだ 時々だけどね ドキドキレスゲラハラキドキラハラ コンサートもいよいよ最後の曲となりまし
た これから聞いてもらうのはミニュージカル
たぬの親子とトウモロコシ畑 ミュージカルというのは音楽に合わせて
歌ったりお芝居をしたりしながら進める 音楽劇のことです
このお話に出てくるのは子供のたぬきと そしてそのお母さんだきそれから農家の
おじさん 大きな畑でトウモロコシを育てていた農家
のおじさんの周りで本当に起こったことを 元にして作った物語なんですよ
ぬさんの可愛らしい歌ではつみという太鼓 が一緒に音を出しますつというのは肩の上
に乗せて手のひで打つという珍しい楽器 です
またたぬきのお母さんが気持ちをたっぷり 込めて歌うアリアというお歌やリズムに
乗ってかっ喋るように歌うラップというお 歌も出てきますよ
面白いお話なので是非最後まで楽しんで くださいね とある町のとある畑に素敵な農家があり
ました 1つ1つに
野菜を育てて 夏に作るトウモロコシは
それはそれはしけ て
とてもとても人気がありました こんな畑を作っているのが
麦わし がトレどく
のどかさ こんにちは
あれここですよここ この麦わ帽子です
改めましてこんにちは ここで畑をやっているのがこの私です今は
この暑い夏にトウモロコシを作っています そんな私の畑では最近困ったことが起きて
いるんです それは
男性込めて育てた大事なトウモロコシが 食い散らかされているんです
私が汗水たらして育てた大事な遠こそれを あんな目に合わせるなんて
怒った私は畑に罠を仕掛けて犯人探しを することにしましたそんな とある夏の日
とある旗の とある
たぬきとそんな私の 言葉は通じぬ
僕たちの 言葉が通じ 物が語 よいしょ ポンポンポンポンポン 今日のご飯はともし甘くで美いしいともし様みたいのをぐもぐもぐもぐ を
食べたことれ と
きっと甘くておしポンポンポン ポンポンポン僕 の大好きな子マ の大好きな お腹
いっぱい 飛びたい
の パンパン
マグパグパン 体が
広くなっちゃったら どうしよう
どうしよう そうだ僕をお日様になればいいポポ ポンポン
甘くて美味しいとものおし星様みたいな味 がする ーママママ助けてあが取れちゃうよああかわいそうなこだぬき君足が取れたら大変だ 今すぐそのトラバサ取ってやるから
落ち着いて 牙を向けるなこの僕に 勝手に私のトウモロコシ
食べようとした君が悪い 人間様の土地に来て人間様の食べ物を勝手に取って食べるのは今後やめるんだよこ田ぬき君 坊や大丈夫?まあまあ見ればよ 痛い思いをさせたね はあ私のせいで坊やをこんな目に合わせて
しまったわ ごめんでもよ ここへ行くのは
ダめよね は今日のご飯はどうしようかしら ごめんねよ 優しい
よ 大す
よ 新しい土地を探さなければ 母きの美しく悲しみに満ちた歌声
そしてこう思う母の怒りのまざし いつまでもいつまでも母田きは小だぬきの
傷跡を舐めていましたまるで私に何かを 見せつけるかのように
そんな強い思いを感じ取った私は とあることを思いつきました こしおしきよおいし
ト毛のコ心の選び方よ髭が多いとも多いよ 皮は緑が美味しいよ先までぎっしり
膨らようヒは茶色が美味しいよみんな覚え て役立てよ これはこっち
これはそっちこの子はこっちこれは 美いしいこれは
彼らに これはこっち
これはそっちこの子はこっちこれは 美味しいそれは
彼らに 私は農 にも
生活がある だから
人間が変わるとこし 君たちに
分けてあげよう の悪いとこし
だけど 味は
ピカチさ きっとお日様みたいな味がする それからは畑の橋に売り物にならない
トウモを置いておくことにしました 甘い匂いが 坊やまた罠にしまうわよま甘くていい匂い
がするよ まあ本当いい匂いだわ あママトモしのお山があるよ美いしそうだなねえねえ食べてもいい 待って人間の罠かもしれないからまずはママが様子を見てみるわ くんくんくん
くんくんくん もぐもぐもぐもぐもぐ
ママどうしたの大丈夫 甘くてとっても美味しいわもお食べ もぐもぐもぐもぐもぐもぐあ甘くて美味しいお様みたいな味がするねもぐもぐもぐもぐもぐもぐ たぬきの親子は幸せそうにトウモロコシを
放張っていました それからトウモロコシの山を作るたびに
たぬきの親子が姿を表すようになりました 美いしいトウモロコシをこうして
分け合えるなんて思ってもいなかった私は 考えました 同じ地球にたのになぜ忘れちゃうの君も私も そこのあの子もきっとなぜって思ってる時が来たならそうよなら伝えようにいくらでもきっと届くよその言葉 同じ地球
僕たち美いしいものを食べようよきっとみんなは笑顔になるよ こうして今日も美味しい匂いに誘われてこ田ぬき君がやってきます 今日もご飯はもとしとし お様みたいの味がす ポグポンポグポンポグポグポン おそこけ きっとふてほしいポ ママも大好きなし お腹いっぱい食べたい もぐぽもぐもぐポン体が広くなっちゃった どうしようどうしようそうだ僕のお様になればピポよ ありがとうございました2時間にわる
コンサートお楽しみいただけました でしょうか
ありがとうございます えここで改めて今日の作品を作って
くださいました詩人作曲家そして選曲家の 皆さんをご紹介させていただきたいと思い
ます えオープニングの返曲そして無ろ再生動物
支を作曲してくださいました上子さんです こちらにこちらですねありがとうござい
ます はい
え一部のキッズそして美しい消化を返曲し てくださいました石井ゆき子さんです
ありがとうございました え第2部日本メーカーを返局くださいまし
たのは新徳秀さんとひ野裕介さんです今日 はいらしてないですねありがとうござい
ますはいすみませんえ黄色い船今日初所演 でした黄色い船をえ作ってくださいました
詩人の原和さん え作曲は田丸沢子さんです
ありがとうございます はい最後のミニュージカルたぬきの親子と
トウモロコシ畑を作ってくださいましたの は台本米ネ津と美さん そして作曲は福島代秀さんです ありがとうございます え日本各局協会がお送りするファミリー
コンサート約2時間にわってのお届けでし たけれどもえ私たち演奏家もえとっても心
に残る楽しい時間となりました皆さん最後 までお付き合いくださいまして本当に
ありがとうございました え今日は気温も上がって外はまだ暑いかな
と思いますのでどうぞ帰り道をお気をつけ てお帰りくださいませまた皆さんとお会い
できますことを楽しみにしております本日 はどうもありがとうございました

こどもの日 ファミリーコンサート 後編  
日本歌曲協会主催( http://www.nikakyou.org​ )
<邦楽器とともに 春のステージ2024>より
2024.5.5(日・祝)渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
映像制作 公益財団法人日本伝統文化振興財団
00:00 オープニング 日本名歌
13:03 きいろい舟
21:52 タヌキの親子とトウモロコシ畑
ナビゲーター:佐藤容子

<日本名歌>
編曲:新実 徳英・引野 裕亮
歌(S):中畑有美子
歌(Ms):青山恵子
箏:木田敦子     
十七絃:平田紀子
尺八:田辺頌山
囃子:望月晴美・あかる潤

さくらさくら
日本古謡

中国地方の子守歌
岡山地方民謡

あわて床屋
詩 北原 白秋
曲 山田 耕筰 
【解説】
ピアノ伴奏で書かれている日本名歌を新実徳英氏が、邦楽器での演奏のために編曲したものを元に、引野裕亮氏が歌入りに編曲したものを2021年の春のステージで演奏しました。今回はそれを更に女声二重唱に再編曲してもらい、演奏します。箏や尺八、様々な打楽器の効果音で、それぞれの曲の情景が生き生きと描かれ、ピアノ伴奏の歌曲とはまた異なった趣で楽しんで頂けると思います。(歌 青山恵子)
日本人にとって、さくらは特別なもの。幸せや喜び、悲しさ、幽玄の世界、など私達の心を育んでくれます。さくらへの思いも込めて、ステージの冒頭に在原業平の和歌を添えました。また、「あわて床屋」の、うさぎの急かす声、蟹の「チョン!」「城ヶ島の雨」の波の音や帆がかすんでいくsmorzando ……等、様々な邦楽器が奏でる素敵な音楽の世界、舞台から聞こえてくる邦楽器の音が、言の葉となり、抒情の世界を広げていきます。   (編曲 引野裕亮)

<きいろい舟>

詩:原かずみ                      
曲:田丸彩和子
歌(S):芝野遥香
二十五絃箏:花岡操聖
尺八:坂田梁山

ハラハラドキドキ
車のレースゲーム
ハラハラドキドキ
ハラハラドキドキ

青い車を追いぬこうと
スピードギューンと上げたとき
プシュン 画面が切れた
あっ ゆりめ きいろいボタンおしやがって
ぼくはいかって
ゆりの手をひっつかんだ

そのとき
真昼みたいにへやが明るくなって
窓の外に
おおきなきいろい三日月
「きいろいボタンを押されたお客さま お客さま
 三日月の舟にお早くどうぞ」
子ざるの船長が叫んでる
あわててのりこむ
ぼくとゆり
ミケもミャーンと飛びのった
「えっへん 天の川をひとめぐり」
船長がピーと笛をふくと
白いオールから星がこぼれて
ちらちらきらきら
三日月の舟がすべりだす

天の川を
シュルシュル シュルリ
はやい はやい 月の舟
キャーキャーはやい 月の舟
ジェットコースターみたい月の舟

ギューッと 赤い星で急カーブ
るびゃーん るびゃーん 
しゃりしゃりしゃらーん
クマの親子が星の川で水遊び
しゃらん しゃららららん
「おおぐま座とこぐま座でーす」
川につばさひろげる白い鳥
「こちらはごぞんじ はくちょう座」
きいろい舟はぐんぐん進む
ピカリピカリ空飛ぶ魚
「魚座でーす」
ミケは夢中で手をのばす

シュルシュル シュルリ月の舟
ちらちらきらきら天の川
ジェットコースターみたいにすべって
すべって
きいろい舟は
しまいに ゆらゆらおりてゆく
流れ星よけて
右へ左へゆらりゆらり
「えっへん 終点です」

ドシンと子ども部屋にぼくとゆり
ミケもペシャンと落ちてきた
舟は小さな三日月になって
ずっと遠くで光ってた

それからはぼく 
ゆりにもレースゲームやらせてあげてるんだ
ときどきだけどね

※作曲の都合上、詩はそのまま歌われない部分があります。
【解説】
子育ても終わって、子供のための音楽から遠ざかっていた私は、二年くらい前から再び童謡を作るようになりました。そして本日のファミリーコンサートで、原かずみさんの楽しくてかわいくてファンタジックな詩に作曲して、ポップス調の作品を初演します。この機会に久しぶりにNHKの「おかあさんといっしょ」を見たり、部屋を片付けていて見つかったたくさんのジャズのCDを聴いたり、星座のDVDを見たりしました。最近、テレビからは戦争、病気、災害などのニュースが多く流れて、気持ちが暗くなります。でも「きいろい舟」を作曲している時間は、とても楽しい時間でした。
みなさんも主人公の少年といっしょに、三日月の舟に乗って天の川めぐりの旅に出ましょう。二十五絃の箏(こと)と尺八が描き出す星座の世界へ。もうすぐ出発の合図の笛が鳴ります!   
(曲 田丸彩和子)

<タヌキの親子とトウモロコシ畑
~歌・十七絃箏・邦楽打楽器のために~>

台本:米津知実
曲:福嶋頼秀
歌(母ダヌキ):中畑有美子
歌(子ダヌキ):池羽 由
歌(農家さん):宮原健一郎
尺八:田野村 聡
三味線:山崎千鶴子
十七絃:久本桂子
邦楽打楽器:冨田慎平

【プロローグ】
とある町の、とある畑に、素敵な農家がありました。ひとつひとつ丁寧に野菜を育て、夏に作るとうもろこしは、それはそれはおいしくて、とてもとても人気がありました。そんな畑を作っているのは、麦わら帽子がトレードマークの農家さん。

私 こんにちは!こんにちは!あれ?ここですよ、
ここ!この麦わら帽子です。はー、よかった。あっ、改めてこんにちは、ここで畑をやっているのが、この私です。今はこの暑い夏に、とうもろこしを作っています。そんな私の畑では最近困ったことが起きています。それは…丹精込めて作った大事なとうもろこしが、食い散らかされているのです。汗水垂らして、大切に育てたとうもろこし…それをこんな目に合わせるなんて…
怒った私は畑に罠を仕掛けて犯人探しをすることにしました。
そんな…
◆大鼓の拍子に合わせて語られる
  とある 夏の日  とある 畑の
  とある たぬきと  そんな 私の
  言葉は 通じぬ 僕たちの
  言葉が 通じた 物語

◆子だぬき登場。とうもろこしの匂いに誘われて、
あたりを伺いながら、ゆっくりと入ってくる。

『子だぬきの歌』

ぽん ぽん ぽん  ぽん ぽん ぽん
今日のごはんは とうもろぽん(こし)
あまくておいしい とうもろぽん(こし)
おひさまみたいな 味がするぅ
もぐ ぽん もぐ ぽん もぐもぐ ぽん
 
おひさまは たべたことないけれど
きっとあまくて おいしい ぽん

ぽん ぽん ぽん  ぽん ぽん ぽん
ぼくの大好きな とうもろぽん(こし)
ままも大好き とうもろぽん(こし) 
おなかいっぱい たべたいな
もぐ ぽん もぐ ぽん もぐもぐ ぽん
からだが きいろくなっちゃったーっら
どうしよう? どうしよう?
「そうだ!ぼくも お日様になればいい ぽん」

 ぽん ぽん ぽん  ぽん ぽん ぽん
 あまくておいしい とうもろぽん(こし)
 おひさまみたいな 味がするぅ

子だぬき ぎゃーーーー

◆楽しそうに歌っていた子だぬきが、
虎鋏の罠にかかってしまう。
子だぬき ままー。ままー。助けてー。
足が取れちゃうよー。

◆物音に気がついた、私が登場。

『私の歌』(私のレチタティーヴォ)

あぁ かわいそうな 子だぬきくん
足が 取れたら 大変だ
今すぐ その虎鋏 とってやるから 落ち着いて
牙を向けるな この僕に
勝手に 私の とうもろこし
食べようとした きみが悪い
人間様の 土地に来て  人間様の 食べ物を
勝手に 取って食べるのは
今後 やめるんだよ 子だぬきくん

◆私は子だぬきの虎鋏をとってやる。その時、母だぬき登場。子だぬきに近づき、ケガした足を舐めている。

母だぬき 坊や!大丈夫?
子だぬき まま…うっ…

『母だぬきの悲しみと怒りのアリア
(ヴォカリーズ風)』

ごめんね 坊や あぁ
いたい思いをさせたわね  あぁ
「はー。私のせいで坊やをこんな目に合わせてしまったわ。」

ごめんね 坊や あぁ
ここへ来るのはやめようね  あぁ
「はー。今日のごはんはどうしようかしら。」

ごめんね 坊や あぁ
やさし坊やが 大好きよ  あぁ
「はー。新しい土地を探さなければ。」

私 母だぬきの美しく悲しみに満ちた歌声、そして、子を思う母の怒りの眼差し。いつまでもいつまでも母だぬきは子だぬきの傷跡を舐めていました。まるで、私に何かを見せつけるかのように…そんな強い思いを感じ取った私は…とあることを思いつきました。

『仕分けラップ』

とうもろこしを仕分け yo
おいしいとうもろこしの選び方 yo!
ヒゲが多いと粒多い yo
皮は緑がおいしい yo
先までぎっしり、ふっくら yo
ヒゲは茶色がおいしい yo
みんな覚えて役立て yo

これはこっち  これはそっち
この子はこっち  これはおいしい
これは彼らに

◆私は黙々と、とうもろこしを仕分けていく。
『たぬきの親子へ』
私は農家だ。 私にも生活がある。 だから、
人間が買わぬ、とうもろこし 
君たちに分けてあげよう。
出来の悪いとうもろこし  
だけど、味はピカイチさ。
きっとおひさまみたいな味がする。

私 それからは、畑の端に売り物にならない
とうもろこしを置いておくことにしました。

子だぬき くんくんくん くんくんくん。甘い匂
いが、くんくんくん。
母だぬき 坊や、、また罠に捕まってしまうわよ。
子だぬき まま!甘くていい匂いがするよ。
母だぬき まぁ、ほんと、いい匂いだわ、くんくんくん
子だぬき まま!とうもろこしのお山があるよ!美味しそうだなぁ。食べてもいい?
母だぬき 待って!人間の罠かもしれないから、まずはままが様子をみてみるわ!くんくんくん、くんくんくん。もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐ。
     うっ、う…
子だぬき まま!どうしたの!大丈夫?
母だぬき おいしい!とっても甘くておいしいわ!坊やもお食べ。
子だぬき もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐ。わー、甘くておいしいおひさまみたいな味がするね。

もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐ…。

◆たぬきの親子は幸せそうにとうもろこしを頬張っていました。

私 それから、とうもろこしの山を作る度にたぬきの親子が姿を現すようになりました。おいしいとうもろこしを、こうして分け合えるなんて思ってもみなかった私は考えました…

『エピローグ』

同じ地球に生まれたのに
なぜ、なぜ、なーぜ  忘れちゃうの?
君も私も  どこかのあの子も
きっと  なぜって思ってる

時が来たなら  話そうよ
時が来たなら  伝えよう

君の思いを いくらでも
きっと 届くよ その言葉

だっておんなじ  
地球に生まれた 僕達だから
おいしいものを食べようよ
きっと皆が笑顔になるよ

◆こうして、今日も美味しい匂いに誘われて
子だぬきくんがやって来ます。

『子だぬきの歌(リプライズ)』

ぽん ぽん ぽん  ぽん ぽん ぽん
今日もごはんは とうもろぽん(こし)
あまくておいしい とうもろぽん(こし)
おひさまみたいな 味がするぅ
もぐ ぽん もぐ ぽん もぐもぐ ぽん
おひさまは たべたことないけれど
きっとあまくて おいしい ぽん

ぽん ぽん ぽん  ぽん ぽん ぽん
ぼくの大好きな とうもろぽん(こし)
ままも大好き とうもろぽん(こし) 
おなかいっぱい たべたいな
もぐ ぽん もぐ ぽん もぐもぐ ぽん
からだが きいろくなっちゃったーっら
どうしよう? どうしよう?
「そうだ!ぼくも お日様になればいい ぽん」
   
ぽん ぽん ぽん

【解説】
絶対不可能と言われていた無農薬によるリンゴ栽培を初めて成功させた木村秋則さん。氏は若い頃、トウモロコシ畑がタヌキに荒らされる被害に遭いました。その時に不思議な体験をするのですが…この作品はそのエピソードを、ご本人の許諾をいただき、ミニ・ミュージカルに仕立てたものです。(曲・福嶋頼秀)

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