ファイナンス決算

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 2025年5月16日に発表されたフジ・メディア・ホールディングスの連結決算は、売上高が5507億6100万円、営業利益182億9300万円(45.4%減)、経常利益251億8000万円(35.7%減)と減収減益だった。また当期純損失を201億3400万円計上する厳しい結果となった。
 第4半期にフジテレビの番組出演俳優のハラスメント問題が発端となった同局のコンプライアンス不備から顧客離れが進んだことに理由である。フジテレビの広告収入の落ち込みから固定資産の減損損失を計上し、繰延税金資産を取り崩したことで最終赤字転落した。

 そうしたなかではあるがフジテレビの手がけるアニメ開発事業は、好調を維持している。通期売上が61億6500万円と前年比54.6%増と高い伸びを見せた。海外向けの配信権販売が好調だったのに加えて、出資作品の配分金収入や商品化関連収入の伸びが増収に貢献した。
 アニメ開発事業は2022年3月期にセグメント化され、当初は売上21億6700万円だった。これが23年3月期24億6000万円、2024年3月期39億8000万円と継続して成長をしている。深夜放送枠の拡大、製作出資の強化、国内外のパートナーとの関係強化が結果になっているとみられる。

 また映画事業は16.7%減ではあったが、売上81億2700万円とアニメ開発事業より大きい。『室井慎次 敗れざる者』、『室井慎次 生き続ける者』が貢献、『アンダーニンジャ』が好調としているが、前年ヒット作に及ばなかった。二次利用やアーカイブの配信権販売が好調だった。
 このほか定額課金の配信プラットフォーム「FOD」で有料会員増加、配信権販売も好調。シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア」の反動があった催事事業、ビデオ事業の落ち込みはあったもののコンテンツビジネス全体は堅調だ。売上高は全体で362億6300万円(7.7%減)、営業利益は166億5200万円(7.8%増)であった。
 ただしグループ会社のポニーキャニオンは、アニメのヒット作数減少で減収で厳しかった。映像パッケージとアニメ番組販売で前年比減少になった。売上高は360億3000万円、営業損失2億6400万円に転じた。

 映画・アニメは今後も、フジテレビ事業投資の大きな部分を占めそうだ。同日発表された「改革アクションプラン」のなかで成長戦略としてコンテンツカンパニーへの進化を強く押しだす。「IP強化」「コンテンツのサプライチェーンへの戦略的投資」「映画・アニメ等の増強」、「配信領域での投資・販路拡大」が掲げられている。 

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