【写真】リアルな世界観を描いている『LAZARUS ラザロ』

 本作は『カウボーイビバップ』などで知られる渡辺信一郎監督の最新作で、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のMAPPAが制作を手掛けるオリジナルアニメ。副作用がない“奇跡の薬”と呼ばれる鎮痛剤・ハプナが広まった近未来が舞台となり、そこに仕掛けられた罠と陰謀に抗うため、世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」が活躍する近未来SFアクション作品だ。

 渡辺監督といえば、アクションシーンの描写・演出に定評がある人物。上記した『カウボーイビバップ』のクールかつスペクタクルなガンアクションや、『サムライ・チャンプルー』での剣術とブレイクダンスを融合させた異色のチャンバラアクションは、日本国外でも評価されている。

 『LAZARUS ラザロ』でも同様の見応えあるアクションシーンが繰り広げられており、また初の試みとして、アクションシーンの振り付けを実写のチームに依頼するというやり方を採っている(※1)。

 オファーした人物は、『ジョン・ウィック』シリーズの監督を務めるチャド・スタエルスキ。スタエルスキは渡辺監督の脚本を読んで、そこに当てはまるアクションを考え、それを実際のスタントマンが演じる様子を撮影・編集。その映像を渡辺が受け取り、それを見てアニメーターと打ち合わせしながらアクションシーンを作っていったそうだ(※2)。そのように作られたシーンはリアルでありつつ、アニメでしか表現できない動きや構図などもあり、これまでにない描写で視聴者を圧倒させてくれる。

 そんなアクションシーンをダイナミックに仕上げつつ、細やかな動きにまで気を配り、独特なカメラワークでキャラクターやシーンを捉えることで臨場感を出すのがMAPPAだ。この掛け算が相乗効果を生み、『LAZARUS ラザロ』ならではの世界観を作り上げている。

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