就労継続支援B型事業所「シェイク・ハンズ」でイラストを描く利用者=3月、大津市
障害やうつ病などにより一般企業で働くのが難しい人たちが、アニメーション制作を手がける就労支援事業所がある。運営する合同会社「ふくろう」(大津市)の事業部長林知史さん(42)は「就労に困難を抱える人たちを支えると同時に、アニメ制作現場の人手不足を解決していきたい」と業界の未来を展望する。(共同通信=小町梨央)
企業から人気テレビアニメなどの制作を請け負う大津市の就労継続支援B型事業所「Shake Hands(シェイク・ハンズ)」。パソコンがずらりと並び、10人ほどの利用者らが画面上にペンでイラストを描いている。
ウェブコンテンツを作画中の30代男性は学生時代にうつ病を患い、対人恐怖症などを発症した。カウンセリングを受ける中で、施設の存在を知り、4年前から事業所で働いている。
作画だけでなく予算管理やチームマネジメントなど作業の多さに苦労することもあるが、精神的サポートを担う施設スタッフの手助けで日々成長できていると男性。「責任ある仕事に携わることで社会とのつながりを実感できている」と前向きに語った。
近年、アニメ制作の急増で作画などを担うアニメーターの人手不足が深刻だ。日本アニメフィルム文化連盟によると、過去30年でアニメ制作本数が3倍以上に増える一方、市場規模に見合うほど、アニメーターの数が増えていない。
シェイク・ハンズは元々、ウェブやグラフィックなどのデザインをメインにした就労施設だったが、2023年にアニメ制作部門を新設。アニメーターを5人ほど常駐させ、描画スキルやソフト操作を利用者に教える。
林さんによると、商業アニメの制作に特化した就労支援事業所は前例がなく「就労支援の場なので時間をかけて、その人に合った育成ができる。挑戦する機会を提供したい」と話す。フリーランスとして独立する利用者もいるという。大阪や京都、東京にも拠点を開設。クラウドファンディングを募って独自アニメ映画も制作する予定だ。
◎就労継続支援B型事業所
障害者総合支援法に基づいた就労支援事業の一つ。一般企業で働くのが難しい障害者を対象に、就労の機会や生産活動の場を提供する。農作業や部品加工などの軽作業が多い。「工賃」という形で報酬を得ることができる。雇用契約を結ばないため、最低賃金が適用されず、厚生労働省によると、2023年度の平均工賃は月約2万3千円。
就労継続支援B型事業所「シェイク・ハンズ」で、施設スタッフ(右)の指導を受けながらイラストを描く利用者=大津市
大津市・合同会社「ふくろう」、「Shake Hands大津駅前出張所」

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