豪雨災害やコロナ禍で落ち込んだ観光客を呼び込もうと、テレビアニメ『夏目友人帳』のモデル地となっている人吉・球磨地域をガイド付きのタクシーで巡る新たな観光ツアーを取材しました。

【TaKuRoo 丸山まゆみ運転手】
「この夏目友人帳のモデル地をまわって、『帰りたくない。また来たい』と
ほとんどの利用者から言っていただける。ありがたい」

熊本県出身の漫画家・緑川ゆきさん原作のテレビアニメ『夏目友人帳』。

幼いころから妖怪が見える主人公・夏目貴志が、自称用心棒のニャンコ先生や友人に助けられながら、大切な日々を守るすべを見つけていく、人と妖たちの物語です。県は、豪雨災害からの復興支援の一環として、アニメ『夏目友人帳』とコラボ。アニメのモデル地となっている人吉・球磨地域の魅力を伝えるPR動画を制作したり、人吉市の鍛冶屋町通りに影絵を点灯させたりしてにぎわいの創出に取り組んでいます。

【TaKuRoo 丸山まゆみ運転手】
「人吉の風景、田んぼや癒やされる場所を見ながら、夏目友人帳のモデル地を
めぐっていただく、それが一番」

こうした中、今年1月から始まった新たな取り組みが、アニメのモデル地を周遊するガイド付きタクシープランの運行です。

県の協力のもと、人吉温泉観光協会などが企画しました。

【蒲島知事ON】
「タクシープランの一番の魅力は、アニメの世界観とともに、人吉・球磨地域の自然豊かな風景や街並みを堪能できること」

このタクシープランは、つばめタクシーとTaKuRooの2社が運行しています。

【つばめタクシー・尾崎義一運転手】
「こちらはアニメの第2期、『続・夏目友人帳』のオープニングの1シーンのモデル地でファンにとっては定番となっているおすすめポイントです」

この日は、東京から来た家族連れが、タクシープランを利用。
アニメのオープニングに登場する1シーンのモデル地となっている人吉市の田町菅原天満宮などを見て回りました。

【利用者】
「ついに来たという感じでうれしくて、ずっとここに(来たかった)。そのままの風景で良かった」

【つばめタクシー・尾崎義一運転手】
「実際にアニメで登場する場所に来られたのがうれしくて、携帯などで写真を撮られたりしている。人吉に来てもらえるのは地元としてはありがたい」
土地勘や移動手段がなくてもモデル地を周遊できアニメの世界観に浸れるこのタクシープラン。4月24日までに県外からの観光客など70組170人が利用しています。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「この田舎の景色に癒やされるんだそうです」「何日か前には、韓国からの観光客2人がタクシープランを利用した」

4月27日、実際に乗車し、人気のコースを紹介してもらいました。
まず訪れたのは人吉駅です。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「作品の中でよく登場するモデル地です。人形の妖が登場した第2期第8話『不死の想い』の1シーン」

アニメで登場するシーンが描かれた専用のパネルを使ってモデル地を紹介するとともに、観光地としての人吉駅の見どころも説明します。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「人吉はとてもいい所。皆さんにそれも分かってほしい」
モデル地の中には2020年の豪雨で大きな被害を受けた場所もあります。

球磨川に架かる歩行者、自転車専用の橋、『天狗橋』です。

主人公・夏目貴志と友人たちの通学路として作品にたびたび登場するファンにとってはおなじみの場所ですが…。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「豪雨で流される前はここにあったガードレールがこんなふうになった。水害で。
水害の爪痕です」

橋げたの一部も球磨川の氾濫で流失しました。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「(ファンは)天狗橋に必ず行かれます。だからつながってほしい。
こんなふうになってしまうなんて…。二度とあんな水害はあってほしくない」

豪雨災害の記憶にも触れることができるタクシープラン。

このほかアニメ『夏目友人帳』とコラボした県のPR動画で紹介されている『鹿目の滝』など人吉・球磨地域の自然豊かな風景も堪能することができます。

【TaKuRoo・丸山まゆみ運転手】
「人吉、頑張っているというところを見てほしい。
(モデル地を)巡りながら被災地や、人吉・球磨のきれいな自然を見てほしい。
それが復興につながっていくと思う

アニメ『夏目友人帳』のモデル地などをめぐるタクシープランは、全部で5つのコースを用意。

料金は、車両の大きさに応じて9800円から2万900円、所要時間は2時間から3時間です。

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