⚾️〜あの夏の記憶〜⚾️

24年前にplay Back‼️
中学2年の夏。
浜松リトルシニアに所属していた僕は、3番レフトで全国大会に出場。
高校野球の聖地が甲子園なら、シニアの聖地は明治神宮球場なのである。
準々決勝、僕は札幌新琴似シニア戦での一打席目に、打ったこともない感触のバッティングをすることとなる。
前日までの試合で3番で使って頂きながらも、得意のインコース低めをことごとく見逃していた。
監督には、次戦同じ事を繰り返したら外すとまで言われていた。
この日の僕は、プレッシャーと重圧に押しつぶされそうになりながらも、プロ野球選手と同じグラウンドに立てる事を幸せに感じ、大好きな先輩達と一日でも野球をする為、いつもと同じルーティーンでバッターボックスに入った。
正直、打てないかも…そんな弱気な考えが先行していた。
対するピッチャーは、当時、MAX135kmのストレートを誇る中学NO.1ピッチャーと言われた選手だった。
そんな投手と対峙した時の威圧感は今でも忘れない。
長身から繰り出されるストレートと、キレのいい変化球。
簡単に2ストライク追い込まれた僕は、
「やっぱり今日もダメなのか…」
この打席で打たなければ交代だ。
それだけは絶対に嫌だと強く思いバットのグリップを握った。
3球目だった。
得意のインコース低めが来たのである。
この時の事を鮮明に覚えているけど、ボールがピッチャーの手元から自分に向かってくる数秒で、前日の監督の言葉を思い出した。
「お前の1番得意なコースはなんだ!」
これだ!!と思い、無我夢中でバットを振り抜いた。
しかし、バットに当たったものの、感触は無し…
ポーンとレフトに上がった打球を一瞬見て、
「はぁ…レフトフライ…これで次の打席は交代だ…終わった…一塁までは全力で走ろう」
そんな事を思いながら走っていたら、ドカン‼︎‼︎
と、大きな音がした。
何やら騒がしい。
僕は、俯いた顔をあげ、どことなく2塁審判を見た。
右手を大きく回している。
「え?!何が起こったの…」
次にレフトを見た瞬間、相手のレフトがフェンスの向こうを見て肩を落としている。
「まさか…」
そのまさかが現実だったのだ。
打った瞬間何も感触がなく、ただのフライだと思った打球がレフトスタンドに入っていたのです!
それを知った瞬間、喜びより驚きの方が強く、ホームランの余韻に浸る事無く、めちゃめちゃ早く塁間を走ってしまいホームベース迄来てしまったのである。
ベンチに帰った僕は、監督にこう言われた。
「だから言ったんだ。お前はこのチームに入って来た時からあの球が得意なんだ。」と。
さすが監督。。。
「はい!」としか言えない僕に
そっと手を差し出し握手をしてくれた。
チームメイトも大喜びでハイタッチや抱きついて喜んでくれた。
そして、全国に来てから全く打てなかった僕は、この日、嘘のようにバットに当て、ヒットを量産。
結果、猛打賞の活躍で僕は全ての得点に絡むヒットを打つことになった。
チームも勝利し、ベスト4に駒を進めることが出来た!
しかし、僕には一つ気になっていた事があったのだ。
それは、何故感触が何も無かったのにあれだけの打球が飛んだのか…
それまでのホームランは、打った瞬間入ったってわかるくらい感触が手には残っていた。
試合後、僕がこのチームに入ってからずっと尊敬し、背中を追っていた3年生の4番を打つ、後藤武敏さんに聞いたのである。
すると後藤さんは、
「バットの真芯で捉えるとそうなるんだよ。」
僕は、初耳だった。
と言うことは、今迄のホームランは真芯では無かったのかと…
そんなことを思っていたら後藤さんが、
「お前なら打てると思ってたよ!ナイスバッティング!!」
と、握手をしてくれた。
こんなに嬉しいことはない!
大好きで背中を追い、尊敬していた後藤さんに言ってもらえた!
もっと先輩達と野球がしたい!
そのことを強く思わせてくれる一言でした。
そしてもう一つ嬉しい事が。
夜のミーティングで、なんとホームランボールを監督を手渡された。
監督も笑いながら
「ノク!ほらよ!」って。
昨日まで鬼のように見えた監督だったけど、この時はなんとも言えない感情で涙が出そうになった。
そして、そのボールをよく見ると、ボールペンで大会名と名前が刻まれていた。
その横には、スタンドに入った時の衝撃で椅子に擦れたであろう青色の汚れが付いていた。
その夜は、ゲン担ぎとしてそのボールと一緒に寝たのを覚えいる。
次の日のスポーツ新聞の静岡版には個人的に載せて頂いた。
生まれて初めての新聞掲載である。
親は喜んでくれて、一部買えばいいのに、その店の息子が載っている新聞を買い占めたらしい。
何故?と問うと、観賞用とか保存用とか配る用とか何かしら理由をつけていたw
そんな親の行動が嬉しかった。
そして、チームは準決勝も勝利し決勝まで駒を進めるのです。 *〜つづく〜 *
#浜松シニア #全国大会 #ホームラン #神宮球場 #新聞

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