【COMOLIの歳時記】
先日、編集Oも書いていましたが……。忘れていても、毎年この時季になると忘れずに香ってくる。キンモクセイの香る季節となりました。涼しくなりはじめた空気にふわっと甘い香りがのって届く。最初は、匂いはすれども姿は見えず、ややあって後に、黄色い小さな花を街のあちこちで見かけるようになります。古典のなかで、昔の人を思い出させる香りといえば花橘ですが、現代ではこのキンモクセイではないかとひそかに思っています。
そんな日本の季節の移ろいに合う服作りをしているブランド、COMOLIの春夏の展示会に行ってきました。タイロッケンコートは、きゅっと目の詰まったタイプライタークロスで、薄くても適度な保温性があります。ちょうど花冷えの季節にぴったり。来年の春、昼間は暖かくても夜はまだ寒い、花見の夜の帰り道に、私はこのコートを着ていることでしょう。
西洋で生まれた洋服が、いろいろな試行錯誤を経て、日本の風土に似合う日常着に進化しているのは素敵です。そもそもタイロッケンコートはトレンチコートの前身と言われ、つまりはミリタリーウェア由来ですから、それが巡り巡って現代の東京に辿り着くまでの人の手と歴史に、不思議を感じずにはいられません。(編集W)
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