【山岳妖怪図鑑】妖怪はらくだし
登山開始から数時間が経ち、山小屋までもまだ距離がある。そんな“どっちに進んでもトイレが遠い”という絶妙なタイミングで、突然その妖怪「はらくだし」は現れる。
こいつは主に急激な汗冷えを起こしている者や、幸が薄そうな顔をした登山者を好んで襲う傾向がある。一度取り憑かれると激しい腹痛とともに大量の脂汗が噴出し、脳内は瞬く間に“うんこ欲”に支配される。その欲を意識すればするほどにその登山者は“ゲーリーズ・ハイ”という状態となり、たとえ目の前に全裸の美女が現れようと「そんな場合じゃねえ!」という聖人の境地に到達するのだ。
そこから先は“ケツのご老公様”から「印籠出ちゃうの? それとも出ないの?」という白熱の攻防戦の始まり。腸内の悪代官は大声で「ええい! であえ! であえぃ!」と叫び、ワラワラとあふれ出てくるうんこ欲を助さん角さんが必死で成敗していく。
しかしそれも追いつかず、もしご老公様が「もういいでしょう」なんて諦めて印籠を出しちゃった日には、その登山者は人間としての尊厳、そしていままで大切にしてきたいろんな社会的地位を失うことになるだろう。もはや“人生楽ありゃクソあるさ”では済まされない事態になる。
取り憑かれたらくれぐれも気と穴を引き締めていくことが肝要だ。
文・イラスト/ユーコンカワイ @yukonkawai
(PEAKS 2019年7月号 No.116より)
#山岳妖怪図鑑
#ユーコンカワイ
#山あるある
#登山あるある
#腹痛との戦い
#peaksmagazine
#peaks_mag
WACOCA: People, Life, Style.