【YAMATABI ROUTE GUIDE】Vol.003
五色ヶ原から黒部ダムへ
北アルプスの別天地をめざす穴場コース。

室堂〜浄土山〜獅子岩〜ザラ峠〜五色ヶ原山荘〜平乃小屋〜黒部ダム

1泊2日
歩行時間:11時間30分
総距離:19.5km

黒部ダムを起点にして、五色ヶ原から黒部湖に下り、黒部ダムに戻ってくるという周回ルート。北アルプス最高のテント場としてその名が挙がることも多い五色ヶ原だが、薬師岳方面に縦走するときに通過する以外は、なかなか訪れる機会を得にくい場所だ。しかしこの周回ルートなら、比較的短期間で五色ヶ原を主役とした山行が楽しめる。

ただしコース取りは通向けで、とくに、五色ヶ原から黒部湖までの区間は北アルプスでも登山者の数が少ないルート。とくに難所があるわけではないが、トラブルに遭ったときに助けを得にくいコースであることは覚悟しておこう。

コース上のハイライトとなるのは、やはり五色ヶ原。室堂から歩き出して前方に五色ヶ原が見えてくると、その平らに広がった独特の地形が印象的に目に映るだろう。遠目に印象的なだけでなく、五色ヶ原に立つと、標高2500m前後もあるとは思えないほど平和に広がった空間は異質に感じられ、北アルプス最高のテント場といわれるのも納得できる。

五色ヶ原からは平乃小屋をめざして下っていく。この区間は北アルプスとは思えないほど静か。まるで近郊の中級山岳のような樹林帯の道が続く。

平乃小屋からは黒部湖沿いの道を行くが、ここは意外とアップダウンがあり、思いのほか時間と体力を使うので、下山路気分で気を抜かないほうがいい。

■1枚目
獅子岳から下る途中では、目の前に平坦な五色ヶ原の独特な景観が広がる。手前の低くなった場所がザラ峠。

■2枚目
木道が敷かれた五色ヶ原。広々としたテント場があり、ここはぜひテントで泊まってみたい。

■3枚目
黒部湖沿いの道。沢を渡ったり、長いハシゴで高巻いたり、意外と時間がかかる道だ。

■4枚目
下山は黒部ダムへ。長野側ならここからバス1本で帰ることができる。

【逆ルートアドバイス】
逆ルートは、登りが多くなるので体力的にはややきつくなる。宿泊地も思案のしどころ。初日は平乃小屋までとするのが無難だが、テント場はない。黒部ダムを早い時間に出発し、体力があれば五色ヶ原まで上がることも可能。

【アクセス】
立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルが出発地で、黒部ダムが下山地となる。黒部ダムか黒部平からタンボ平を登って一ノ越に出る行程もおすすめだが、テント場が五色ヶ原にしかないので、テントの場合は体力が必要。

「北アルプスらしい険しい道、ダイナミックな立山カルデラ、楽園のようなお花畑や池塘、黒部湖など景色が移り変わっていくおもしろさがあります。五色ヶ原は平原の先に名峰が見渡せ、夕焼けや朝焼けも美しいですよ」(Recommender:ライター 中島英摩 @_emmn )

文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama @moriyamakenichi
写真◉中島英摩、森山憲一 Photo by Emma Nakajima, Kenichi Moriyama

​​*PEAKS No.140 2021年7月号 P064掲載*

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