【YAMATABI ROUTE GUIDE】Vol.002
立山三山〜剱岳
個性の異なるふたつの名山を一度で回る。

室堂〜立山三山〜剣澤小屋〜剱岳〜室堂

1泊2日
歩行時間:13時間40分
総距離:16.5km

立山周辺でもっとも人気が高い周回コースが立山三山。3000m級の稜線を1日で回ることができ、これといった難所もない、最高のコースだ。

しかしこのコースを歩いた人は、目の前に迫力十分に近づいてくる剱岳の姿が絶対に気になってしまうはず。ここで紹介するのは、定番の立山三山に加えて、同時に剱岳まで登ってしまおうというよくばりコースである。室堂から剱岳往復のコースに少し変化をつけて楽しみたいというときにもおすすめできる。

室堂から、まずは目の前にそびえる雄山まで。観光半分で登ってくる人も含めてつねに登山者でにぎわっている区間だ。雄山から別山までが立山三山縦走のハイライト。終始眺望抜群で、たおやかに連なる3000m級の稜線をのんびり歩いていける。

剱沢で1泊したあとは、様相が一転。それまでのおだやかな山容から、岩場が連なる国内一級の岩稜ルートに入っていく。「カニのタテバイ」などの有名な難所を越えて、剱岳の山頂へ。下りは登り以上に気が抜けない。岩場を慎重に下っていけば、剱沢に帰り着くことができる。剱沢から振り返ると、前日に歩いた立山三山との印象の違いに驚くだろう。

剱沢からの帰りはビクトリーロード。北アルプスのメインディッシュ2山を同時に登った充実感にひたりながら、のんびりと室堂をめざして歩いていこう。

■1枚目
真砂岳付近のたおやかな稜線。右奥に剱岳がわずかに姿を見せている。

■2枚目
室堂ターミナルを出ると目の前にそびえる立山。右の最高点が雄山だ。

■3枚目
大汝休憩所。宿泊はできないが、軽 食をとったり飲みものなどを買うことができる。悪天候時の避難場所としても貴重な空間だ。

■4枚目
剱岳の最難所「カニのヨコバイ」。非常に怖い一歩があるが、足場をよく探すのがカギとなる。

【逆ルートアドバイス】
最後に剱岳をもってくる紹介コースのほうが山行の充実度は上がると思うが、先に剱岳を登ってしまう逆コースのほうが、元気なうちに難所を通過できて心の余裕がもてるかもしれない。室堂の出発が遅めのときも逆コースがいい。

【アクセス】
入下山ともに立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルがベース。富山側、長野側、ふたつのアプローチがある。長野側は乗り継ぎが多く、ハイシーズンの休日などは大混雑して渋滞することもあるので時間には余裕をもつこと。

「充実の2日間ですが、さらにもうひと暴れしたい方は1日プラスして奥大日岳を往復するのもおすすめ。前日に登った剱岳の展望が抜群で、目の前にそびえ立つラスボス『剱』を制したんだと自分に酔えること間違いなし」(Recommender:「THE MOUNTAIN EDITIONS」代表アツシオガワ @the_mountain_editions )

文・写真◉森山憲一 Text and Photo by Kenichi Moriyama @moriyamakenichi

​​*PEAKS No.140 2021年7月号 P062掲載*

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