【YAMATABI ROUTE GUIDE】Vol.001
展望台・蝶ヶ岳と静かな森
北アルプスの“裏道”で人気山から歴史の峠へ。
上高地〜横尾山荘〜蝶槍〜蝶ヶ岳ヒュッテ〜大滝山〜徳本峠〜上高地
1泊2日
歩行時間:16時間40分
総距離:32km
目の前に穂高連峰や槍ヶ岳が壁のようにそびえている蝶ヶ岳は、北アルプスでも名高い展 望地だ。この風景を目当てに集まってくる登山者は多い。
徳沢から樹林帯を長々と歩く長塀尾根で登る人も多いが、ここで紹介するのは横尾まで進み、その 後に稜線へ向かうコースだ。
横尾から稜線まではきびしい登り。風景も少々単調で歩き飽きてくるが、稜線にたどり着けば絶景を楽しめる。すぐに蝶ヶ岳ヒュッテには向かわず、常念岳方向へ少し進み、蝶槍に立ち寄るのもいい。
蝶槍は遠くから見ると、槍のようにとがって見え、以前はここが蝶ヶ岳山頂だとされていた。だが正確な測量の結果、現在の頂上のほうが高いことがわかり、いまは山頂の地位を奪われてしまった。
蝶ヶ岳ヒュッテではたっぷりと眺望を堪能し、夜はしっかり体を休めよう。そして翌日は大滝山を経由し、徳本峠を目指していく。
大滝山からの登山道は中村新道と呼ばれ、ほとんどが深い樹林帯である。「大槍展望台」「明神見晴らし」といった展望所が途中にあるが、眺望のよさは期待しないように。しかし歩く人は少なく、静かな山を楽しむには理想的だ。
昔は上高地と島々の集落を結び、北アルプス重要部への玄関口だった徳本峠は、クラシックルートを好む人に人気がある。テント場もあり、余裕があれば宿泊したいが、その日のうちに上高地へ下山するのは難しくない。
■1枚目
蝶ヶ岳山頂は槍ヶ岳から穂高連峰まで眺められる絶好の展望台。この写真は右が槍ヶ岳、左端が大キレットの一部だ。
■2枚目
蝶ヶ岳ヒュッテは蝶ヶ岳山頂のすぐ隣
■3枚目
大滝小屋から徳本峠へ。遠くには乗鞍岳などが見える。
■4枚目
徳本峠近くの展望台からの風景。穂高連峰の明神岳がきれいだ。
■5枚目
徳本峠小屋。奥が現在の新しい小屋で、手前の古びた建物はいまも維持管理されている以前の小屋。
【逆ルートアドバイス】
初日のうちに蝶ヶ岳ヒュッテに向かうのは、長時間行動を強いられて大変。しかし徳本峠小屋まででは翌日の行動が長くなりすぎるので、なんとか大滝小屋までは行きたい。大滝小屋は営業期間が短く、利用しにくいのが難点だ。
【アクセス】
上高地は一般車両の乗り入れが禁止。駐車場がある沢渡バスターミナルなどからバスを利用し、上高地へ入る。人数がまとまれば、バスよりもタクシーのほうがひとり当たりの金額は割安になり、時間の融通もきいて便利だ。
「蝶ヶ岳自体はわりと地味な山ですが、目の前の穂高連峰や槍ヶ岳はあまりにも華やか。ここは“景色を眺めるため”に登る山なのです。徳本峠から霞沢岳へ往復するのもおすすめで、真下に上高地を眺められますよ」(Recommender:ライター高橋庄太郎 @shotarotakahashi )
文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉矢島慎一 Photo by Shinichi Yajima
*PEAKS No.140 2021年7月号 P023掲載*
#PEAKS
#山旅ルートガイド
#山旅
#ルートガイド
#蝶ヶ岳
#蝶ヶ岳ヒュッテ
#上高地
#peaks編集部
#peaks9月号
#登山雑誌peaks
#mountain
#mountaineering
#mountaintrip
#magazine
WACOCA: People, Life, Style.